ガラスの無い世界ある世界コンテスト

審査結果発表

静止画部門・動画部門合わせて300を超える作品を応募いただきました。
応募いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
この度、国際ガラス年日本実行委員会において厳正な審査を行い、
受賞作品が決定しましたのでご報告致します。

入賞作品につきましては2022年12月8日~9日に東京大学でおこなわれる
国際ガラス年2022のクロージングセレモニーでの展示と表彰を予定しています。

静止画部門

文部科学大臣賞
(静止画部門最優秀作品)
小平 杏子
「ガラスのコップで乾杯しよう」
優秀賞川合 久司
「三枚の絵」
優秀賞八木 英雄
「こんにちは!」
優秀賞藤居 すみれ
「身支度は万全?」
優秀賞三城 由脩
「ガラスと人類」

動画部門

最優秀賞奥 睦志
「涼のある世界」
優秀賞曲線リニア(チーム代表者:ヒサこし 布陣)
「Vividness」
優秀賞細田 祐美子
「with」
優秀賞崎村 宙央
「NO GLASS, NO WORLD!」
優秀賞長谷川 徳子
「Glass makes the place of prayer better…」

静止画部門

文部科学大臣賞受賞作品 (静止画部門最優秀作品)

タイトル「ガラスのコップで乾杯しよう」

作者:小平 杏子

ガラスのコップに入ったジュースはきっとガラスの無い世界の人から見ても綺麗でワクワクするものだと思います。

ガラスの無い世界とある世界を対比的に表現することで、ガラスの科学技術と日常生活への貢献やガラスの外見としての魅力を表現している。細部までガラスを表現している。ガラスの無い世界は一般に暗くなりがちであるが、両方の世界とも明るく描かれている点や二つの世界間でインタラクションがある点が独創的である。

静止画部門 優秀賞受賞作品

タイトル「三枚の絵」

作者:川合 久司

ここは、長野県木曽郡南木曽町の妻籠宿にある脇本陣奥谷(わきほんじんおくや)です。妻籠宿は、江戸と京都を結ぶ中山道の江戸から四十二番目となる宿場でした。この脇本陣奥谷と言う建物は、明治10年に建て替えられて現在に至り国の重要文化財に指定されている他、文豪島崎藤村の初恋の人「ゆふ」さんの嫁ぎ先でもあります。この写真の額障子の向こうには苔庭があり、障子を挟んで部屋の中からも年中庭が眺められ、生活の中で自然に癒しや楽しみを求める粋な計らいのように感じました。併せて、この三枚のガラスは当時の手作りのガラスだそうで、特に真ん中のガラスは波を打ったような手作り感が見えます。この額障子は単に庭の一部が眺められるだけでなく、三枚の絵が飾られているよう心に映ります。この建物を建築した大工さんの審美眼は、145年たった今もなお私達に思いを伝えているように感じる他、私にはガラスが有って当たり前の不思議さにも気付かされました。

タイトル「こんにちは!」

作者:八木 英雄

スマトラトラと子どもとのご挨拶です。ガラス一枚が異次元世界を一つにし、心をも通わせることになっているのですね。

タイトル「身支度は万全?」

作者:藤居 すみれ

もし鏡が無ければ、自分の姿をはっきりと見る術がありません。正確な反射像を見るためには、平面・平滑性の観点からもガラスが鏡の材料として最も適しています。鏡が無ければ、身支度の際、お化粧が上手にできなかったり、寝癖にも気付かなかったり…困ることがたくさんあります。当イラストの左半分はそんなガラスの「無い世界」における身支度の様子を、右半分は「ある世界」における様子を対比的に表現しました。特に、二つの顔の違い(左側はお化粧が失敗している様子)で、ガラスの必要性を強調しました。鏡に限らず、「無い世界」では、素材としてガラスが使われる電球や窓が無いため部屋の中が薄暗く、さらに便利なスマートフォンも無いため、机に書籍が積み上がっています。一方、「ある世界」では、傷や熱などに強い窓ガラスが部屋に光を取り入れ、外の景色(黄色に色づく銀杏の木を表現)を部屋から楽しむことができます。また、高級感ある香水瓶や一輪挿しがあり、ガラスによって開放感溢れる空間が実現されることを表現しました。

タイトル「ガラスと人類」

作者:三城 由脩

ガラスが無いことによる弊害を考えた時に最初に思い浮かんだのは「窓ガラスがないこと」でした。プラスチックで代用できないかとも考えましたが、世界中の窓ガラスをプラスチックで代用することになるとその膨大な需要から価格が高騰してしまい、安めの住宅では窓ガラスが無かったかもしれません。  他にもガラスは科学技術や芸術の発展に大きく関わっている事がわかりました。ガラスが無ければレンズは作れず、科学技術の発展において重要な役割を果たした光学式顕微鏡や屈折式望遠鏡などは発明されなかったでしょう。また実験器具の素材としてガラスがとても適切なことや、1950年頃にトランジスタが発明されるまでデジタルコンピュータの発展に真空管(ガラス製品)が使われていたこと、インターネット通信を可能にする海底ケーブルは伝送損失の関係上ガラス製でなければならないことなど、ガラスが無ければ世界中の文明レベルが今より数段階低かったかもしれないことに気がつきました。普段私たちがあまり気にすることのないガラスという素材は、実は人類の発展において欠かせない大切な素材だったのです。本作品ではこれらの内容をCGを用いて視覚的に表しました。

動画部門

動画部門 最優秀賞受賞作品

タイトル「涼のある世界」

youtube

作者:奥 睦志

ガラスに感じる涼しさを表現した作品です。透き通った見た目や高く澄んだ音から感じられるガラスの涼しさは、冷房や冷たい飲み物とは違い、心に働きかけてくれるようです。ガラスの無い世界は気温こそ変わらなくとも、心に涼しさを感じづらいかもしれません。私たちが生きるガラスのある世界では、ガラスは機能的な役割だけでなく、芸術や景観、シンボルや集いの場としての役割も果たしてくれています。今回の作品が、身近にあるガラスの役割や魅力を再認識するきっかけになればと思います。

ガラスの無い世界とある世界をバランスよく表現しており、物語性のある映像の展開で、ビジュアルも洗練されている。よく考えられた作品である。

動画部門 優秀賞受賞作品

タイトル「Vividness」

youtube

チーム名:曲線リニア (代表者:ヒサこし 布陣)

「ガラスは砂から始まった」というテーマで、一部に空想の生き物などを使い、ファンタジーなストーリー仕立てで制作しました。ガラスを発見したことによってどんどん世界が彩られ、豊かになっていく様子やその意味を込めて、「Vividness」とタイトルをつけております。

タイトル「with」

youtube

作者:細田 祐美子

普段は意識していないけれど、身の回りにガラスはたくさん“ある”ということに気付かされました。そして、私たちの生活を便利にしてくれるだけでなく、光を感じさせてくれたり、天気や季節を知らせてくれたり、日常に彩りを与えてくれるものでもあります。
ガラスの“無い”世界とは?…… ガラスが見せてくれる景色、聞かせてくれる音に注目して作った作品です。

タイトル「NO GLASS, NO WORLD!」

youtube

作者:崎村 宙央

‘ガラス’と聞いて、最初に思い浮かんだのは、ガラス工芸の素朴な美しさでした。しかし、作品制作にあたってガラスという物質について調べていくと、私が従来考えていたような魅力もさることながら、工業製品として技術の進化に貢献し、私たちのよりよい生活に寄り添っているという意外なガラスの姿を知ることができました。
その驚きを踏まえて、映像を制作することとしました。まずは、自然物である砂が降り積もっているところに、火が起こされ、熱されて融解したガラスが生まれるという「‘ガラスの無い世界’から‘ガラスのある世界’への変化」。次に、手のひらの中にあるビー玉から「工芸品としてのガラスの素朴なぬくもり」。そして、高層ビルを包み込む窓ガラス、スマートフォンのディスプレイ、そしてインターネットを支える光ファイバーのきらめきから「ガラスと私たちの暮らし、そしてその進化」を表現しています。最後には、ガラスが人々を繋ぎ、世界を繋いでいるということを、ガラス細工の地球として表現しました。
ガラスの多面性を表現するために、3DCGと手書きの作画を組み合わせるユニークな表現技法を採用しています。

タイトル「Glass makes the place of prayer better…」

youtube

作者:長谷川 徳子

教会の窓を飾り、射しこむ日の光と共に荘厳な空間を生みだす「ステンドグラス」。聖書のストーリーが描かれ、字の読めない人々にもその世界をイメージしやすく伝える役割を果たしました。そして昔も今も、悩み惑う信者にとって、教会が光を感じながら清らかな気持ちへと心を整える大切な空間であったことは想像に難くありません。

「ステンドグラス」はキリスト教、そして信仰する人々の心に深い結びつきがあると言えます。でも、もしもガラスがなかったら、教会はどんな空間になってしまうのだろう? そう考えて制作しました。