ガラスギャラリー
GLASS GALLERY
CaF₂:Er³+透明結晶化ガラス
一般に発光は,高エネルギーの光子を材料が吸収し,低エネルギーの光子を放出する現象です。しかしながら,いくつかのランタノイドイオンは,アップコンバージョン発光と呼ばれる低エネルギー光子を2つ吸収し,高エネルギー光子を1つ放出する現象を示します。アップコンバージョン発光を効率的に生じさせるためには,吸収した光エネルギーの熱による緩和(マルチフォノン緩和)を抑える必要があります。Er³+を添加したCaF₂ナノ結晶が析出した透明結晶化ガラスは,マルチフォノン緩和が抑制され,980nmの近赤外線レーザーを照射することにより,写真のようなアップコンバージョン発光を示します。
J. Ueda, S. Tanabe, and A. Ishida, J. Non-Cryst. Solids 355, 1912 (2009).
<写真提供:上田 純平 氏(京都大学)>