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一般公開講座 【知られざる琉球ガラスの歴史】

 7月16日(土)の10時から12時にかけて,沖縄県豊見城市で開催された琉球ガラスの歴史を研究されている河西大地氏によるアウトリーチに参加しました。イベントは豊見城歴史文化同好会のイベントの一環として開催され,会場では国際ガラス年で作成された「一家に一枚:ガラス」も配布されました。

 河西氏の講演では,琉球ガラスの歴史を明治から戦前の実用品,戦後のアメリカ向け土産物,沖縄復帰後の本土向け土産物,1980年代の様々な技法を取り入れて大量に生み出される土産物,同時にうみだされてきた琉球ガラスの美術工芸品を経て,現在の大衆化・多様化したガラス製品・作品が特に日用食器として沖縄県民に浸透していく経緯を,実物の製品を用いて紹介され,そのそれぞれの時代の作品を画像や実物で紹介しつつ「琉球ガラスとは何か」の核心にせまろうとする内容となりました。

 琉球ガラスは実用品として発展を遂げながら,その芸術性を高めつつ「現代の名工」(厚生労働大臣表彰)をこれまでに8名輩出しています。しかしながら沖縄県を代表する琉球ガラスが,本土復帰前後の古い製品となると沖縄県内の博物館や美術館に所蔵がまったくなく,むしろ県外の民芸館などに資料として収蔵されており,それが河西氏がいろいろなルートで2000点にもおよぶ琉球ガラスを収集して研究を行うきっかけであったことも紹介されました。
 肝心の「琉球ガラスとは何か」という問いについては参加者全員に問いかける形でおわる講演となりました。これまで本土においておこなわれてきた伝統工芸品・民芸品の定義には,琉球ガラスはいずれも当てはまらないのだそうです。社会の中でいいものを生み出していく作り手の取り組みを経てきた琉球ガラスの歴史から,新たな定義を考え続けることが,将来その問いに対するこたえを示すただ一つの方法なのではないかと著者は感じたところです。

国際ガラス年や種々の企画を通して,琉球ガラスを通した街ガラスが形になることを期待させるイベントでした。

9月17−18日には糸満市の琉球ガラス村にて,おきなわガラスフェスティバルが開催されます。デザインコンテストも開催され国際ガラス年もセミナーを開催するなど応援しているイベントです。
秋の3連休,多くの方々が「琉球ガラス」に触れていただければと思います。

(アウトリーチクラスタ・袋布昌幹(富山高等専門学校))

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