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「日本化学会 第102春季年会 イノベーション共創プログラム(CIP) 国際ガラス年:進化し続けるガラス ―新たな特性とアプリケーションの進展―」 参加報告

 2022年3月25日(金)に,題記シンポジウムがZoom Webinarで開催されました。オーガナイザーによれば,参加者は約60名であったとのことです。2件の基調講演と10件の依頼講演からなる本シンポジウムでは,我が国におけるガラス研究開発の最前線が紹介され,朝9時から18時半までガラスのことを深く考える一日となりました。

 AGC株式会社の杉本氏は基調講演の中で,ガラスという素材が私たちの暮らしに貢献してきた歴史を紹介されました。また,光,強度,電波,環境の切り口で,これまでの技術がガラスを如何に進化させてきたか,そして今後も様々な時代の変革にガラスが重要な役割を果たすだろうと未来に向けたメッセージを発していただきました。

 東京工業大学の矢野教授の基調講演では,酸化物ガラスの低温接合に関わるガラスと水との反応という課題について,最新の評価技術を駆使した研究成果が紹介されました。腐食というネガティブなイメージを与える現象が,ガラス構造の再構築というとポジティブな現象に繋がるという考察は,ガラスの基礎研究の奥深さを再認識させるとともに,基礎研究と応用の距離の近さを印象付けてくれました。

 丸一日の講演会でありながら,長さを感じることが無かったのは,講演者の興味深い研究成果や話術だけではなく,学術界から6名,産業界から6名というバランスの良いプログラムにもその一因があるように感じました。基礎と応用,アカデミアと産業界,過去と未来など,ガラスという素材が繋げるものは多いと感じるシンポジウムでした。

(広報分科会・吉田)

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