滋賀県立大学・日本電気硝子共催「ガラスの体験教室」
国際ガラス年協賛行事として2022年8月6日(土)13:00-17:00に滋賀県立大学(南彦根)にて開催されました。
今回は高校生を対象とし,滋賀県内外から一般の方も含め25名の参加がありました。
参加者を3班に分け,3つの実験テーマについてそれぞれ1時間弱でローテーションし,自ら実験していただくとともに,なぜそうなるのかについての講義と併せた「ガラスの体験教室」を実施しました。講師としては滋賀県立大から教員2名+学生4名,日本電気硝子から4名が担当しました。
1つ目のテーマは,「ガラス作り体験」で,さまざまな遷移金属イオンで着色したメタリン酸カルシウムガラスを作製しました。1200℃という高温でガラスを融かして成形する実験です。皆さん初めて原料の投入と流しだしを体験され,「夏は暑くて特に大変そう」との感想もありました。
2つ目のテーマは,「イオン交換により強化されたガラスとは」として,普通の窓ガラス(ソーダ石灰ガラス)とイオン交換した化学強化ガラスそれぞれをハンマーで叩いて強度を比較しました。ソーダ石灰ガラスはすぐに割れてしまうのに強化ガラスはいくら叩いても割れず,強化により非常に割れにくくなることを体感してもらいました。中には強化したガラスが割れるハプニングもあり,なぜ強化ガラスが割れたのかについて滋賀県立大学の学生さんと一緒に考察されていました。また,通常の綿や樹脂のロープとガラス繊維とを実際にライターで加熱し,ガラスの難燃性について体感してもらいました。その後,スライドを用いてイオン交換によりガラスが強化される理由や,ガラス繊維をプラスチックと組み合わせた強化プラスチックがさまざまな用途で使われていることについて説明があり,強度の高いガラスについて関心を持ってもらいました。
3つ目のテーマは,「熱衝撃に強い結晶化ガラスとは」として,ソーダ石灰ガラスと超低膨張結晶化ガラスをトーチバーナーで加熱する実験を行いました。ソーダ石灰ガラスがすぐに割れてしまうのに対し,超低膨張結晶化ガラスはどれだけ加熱しても割れません。加熱した結晶化ガラスの裏面に接している水は沸騰しており,100℃まで上がっています。さらに,「オランダの涙」のデモンストレーションについても実施しました。融けたガラスを水中に落として急冷することでガラスが物理強化され,金槌で叩いても割れない部分とペンチで折ることで一瞬にして粉々になる部分が生じるという不思議な現象について体験してもらいました。
高校生を対象として募集しましたが,コロナ感染拡大の影響によって,参加者が集まらないことで対面での実験が行えなくなる可能性もあり,実施にこぎつけるまで気の抜けない状況での開催となりました。それでも,高校生に加えて保護者の方,引率の先生方にも参加いただき,意欲的な参加体験型の講座として関心を示していただき,活気のあるイベントとなりました。
(実行委員:吉原 聡(日本電気硝子株式会社))